2月11日(日)より、スタートした豊中市のアントレプレナーシップは、「事業創出伴走型プログラム」をテーマとした全4回のワークショップ型講座で、参加学生は手と足を動かしながら起業に向けて事業作りを体験していきます。
第1回講座に続き、3月2日(土)、3日(日)に2日間の講座を実施しました。
第1回レポートはこちら
3月2日(土)の第2回講座テーマは「ビジネスモデル設計&プレゼン講座」
3月24日開催の「DEMODAY(講座の成果発表)」に向けて、顧客ヒアリング結果をもとにビジネスアイデアをブラッシュアップし、ビジネスモデルを設計していきます。
そのため、第2回講座では新規事業プレゼン資料の作り方を学びながら、アイデアをロジカルに伝える練習を行いました。
- 13:00〜13:05:開会&挨拶(豊中市)
- 13:05〜13:15:アイスブレイク(前回から今回までのCan&Problem)(講師:西井)
- 13:15〜14:05:顧客ヒアリングを元にアイデアブラッシュアップ(講師:西井)
- 14:05〜14:50:プレゼン資料の作り方レクチャー(講師:西井)
資金調達に重要な「WhyYou?」の重要性(講師:南原)
- 14:50〜15:00:休憩
- 15:00〜16:00:プレゼン資料作成タイム(ターゲット・課題・サービス・ビジネスモデル作成)
- 16:00〜17:00:プレゼン&フィードバック(フィードバック担当:豊中市、西井、南原)
開催の挨拶では、豊中市都市活力部産業振興課 課長補佐兼振興係長の山森栄一氏が「私たちが学生のときは企業への就職の選択肢しかなく、起業する人はいなかったので、学生時代にこのような起業に向けて学ぶ時間が持てることはとてもうらやましく、貴重に感じています。これからみなさんが取り組んでいきたいことをこの講座を通してカタチにし、ぜひ豊中市での起業や豊中市と関連する取り組みにつなげてください」と挨拶し、講座がスタート。
講師のNEWRON代表の西井香織氏は「この講座は起業を目指す人はもちろん、就活にも活かせます。最近では大手企業が起業経験がある人を積極的に雇用しているケースもあるので、起業や事業スキルを身につけることは今後も多方面で生きてきます」と述べました。
前半戦は「顧客ヒアリングを元にアイデアブラッシュアップ」ワーク
この講座では「リーンスタートアップ方式」を取り入れ、実施していきます。
アイデアを考え、必要最小限の機能のみをつくり、それを顧客に当て反応を見ながら改良、ブラッシュアップし、完成に向けて進めていく手法です。
アイデアがまだない人はアイデア発想を行い、アイデアがある人はブラッシュアップの時間となり、カスタマージャーニー+ユーザーストーリー作成を進めていきました。
カスタマージャーニーとは「顧客の行動、思考を時系列に沿って“見える化”したもの」
サービスアイデアの発想やマーケティング戦略で活用されますが、講座では「行動」(課題を抱えるシーン・ニーズが発生する一連のシーンをフェーズに分けて)から、「不満要因」(現状の行動に関する妥協、課題、悩みなどを記載)を出し、「解決策」(不満要因を解決するアイデアを考案)を各自シートに書き出していきました。
その後のユーザーストーリー作成タイムでは、ターゲットがこのサービスを使用することで、どう価値を感じるのかがわかるように「絵+吹き出し」でストーリーを作成し、続いてサービスとユーザーの関係性や、お金の流れ、またビジネスモデルの種類について、実際の大手企業が展開するサービスなどの事例をもとに学びました。
西井氏:「このワークを通して、実際にサービスを利用することでどのような価値を感じるのか?ユーザー視点での価値をブラッシュアップすることができ、そこがキモとなってきます」
後半戦はプレゼン資料のレクチャーと『資金調達に重要な「WhyYou?」の重要性』を学ぶ
前半は西井氏より、新規事業プレゼン資料に盛り込むべき要素は何か、項目ごとにレクチャーが行われました。
① サービス名&キャッチコピー
② Why?Why you?(なぜあなたがやるのかやるのか?あなたの強み)
③ 解決する課題・本サービスの必要性(ターゲットの課題やニーズ・現状不満)
④ 解決策(サービス内容)
⑤ サービス詳細(5W1H)や利用方法(ステップ)
⑥ 競合優位性(=UVP)
⑦ ビジネスモデル(=稼ぎ方)
⑧ 売上予測や市場規模感(=どれくらい儲かるのか?)
⑨ 実現可能性(実績・実現フロー・ユーザー獲得方法)
⑩ ビジョン(このサービスが普及した先の嬉しい未来)
その後、大阪大学出身で、在学中に起業を経験している株式会社ATOMicaの代表取締役Co-CEOの南原一輝氏による『資金調達に重要な「WhyYou?」の重要性』をテーマとした講義を実施。
南原氏:「今から事業を作っていくみなさんは、まだ何もない中で、どうやって投資家にこの事業を魅力的に思ってもらうか、まさに、Why You?きっかけや、なぜあなたがそれをやるのか、やろうとしていることがどれだけイケてる事業なのかをプレゼン資料で見せることが大切です。誰の何を解決するのか?それができたらどういいのか?儲かるのか?将来どんな広がりがあるのか?サービスの何が画期的なのか?ほんまにできるのか?の実現可能性のところや自分がその課題と向き合いたいのはなぜか?をちゃんとのせて語ることが大事で、プレゼンはほとんどがここで決まると思います」
投資家向けのエクイティファイナンスでは、シリーズAやBといったフェーズでも観点が変わり、まだ事業を始めていない第一歩のところでは、「誰がやっている事業か」のチームのところをどれだけ投資家に魅力的に伝えることができるかにかかっています。
投資家プレゼンで重要な3点
① 「成し遂げる、やり続けるやつなのか」
熱量を伝播できるか
② 「この領域に長けているのか、得意なのか」
専門性を見せる、経験に基づく成功や自信を伝える
③ 「事業を個人ではなく、会社としてやっていく中で、人として魅力的なのか」
布陣を集められているか
この3点をベースに考え、参加学生は実際に事業やサービスに関してのプレゼン資料を作成、グループで発表し、豊中市のみなさんや講師によるフィードバックをもらいました。
3月3日(日)の第3回講座テーマは「仮説検証講座 検証ツール設計&MVP設計ワーク」
この日は、仮説検証についてのワークを行なった後、実際に事業内容のランディングページ(LP)を作り、グループ発表を実施しました。
- 13:00〜13:05:開会&挨拶(豊中市)
- 13:05〜13:15:アイスブレイク(前回から今回までのCan&Problem)(講師:西井)
- 13:15〜13:45:仮説検証方法レクチャー(講師:西井)
- 13:45〜14:15:仮説検証ツール設計(講師:西井)
- 14:15〜16:15:サービスLP・仮説検証ツール開発
- 16:00〜17:00:仮説検証方法の発表&フィードバック(フィードバック担当:豊中市、西井)
開催の挨拶では、豊中市都市活力部産業振興課主幹の荒木孝信が「アントレプレナーシップは豊中市の肝入りの講座です。起業をする若い世代の人たちを市でも支援していきたいと思っています。起業するときはぜひ豊中市で頑張ってください」と挨拶し、3日目の講座がスタート。
まずはじめに、グループごとに自己紹介と自分の事業内容やサービス内容について「誰の」「どのようなニーズに」「どんなサービスを提供し」「どうマネタイズするか」、1分間のピッチを行った後、「仮説検証方法設計&検証ツール制作ワーク」に入り
① 検証したい言語化
② 仮説検証の要点&事例紹介
③ 仮説検証ツール(MVP)設計
④ MVP作成ワーク
の順に沿って実施しました。
仮説検証設計では
①サービス開発する前に、まず仮説検証しよう!
(顧客ニーズ・ソリューション)
→アイデアがそのまま上手くいくことは稀
②ターゲットの行動(登録・予約・事前決済)を伴う方法で検証しよう
③仮説検証ツールは、できるだけ開発せず、安く早く創ろう!
→既存ツールを組み合わせよう!
④仮説検証することで、実現可能性の確認や、よりよい運用方法を見つける事ができる!
→どんどん修正&改善して完成版を創ろう!
のポイントのまとめからはじまり、その後、自分が作ろうとしているサービス/ソリューションによって本当に課題が解決されるのかを検証するためにMVPを作成していきました。
西井氏:「MVP(=Minimum Viable Product)とは、最低限役に立つ機能が揃ったプロダクトなのか、の検証になります。実際に完成品をつくってしまうとニーズがなかった時に売れないなどの問題が発生する可能性もゼロではありません。なので、顧客のニーズを満たす最低限の機能、コアとなる機能を実際に顧客に当てて検証していくことが大事です」
後半戦は、事業/サービスのランディングページをつくってみる
LPの目的や、基本構造についての説明を受けた後、類似サービスのLPを参考にしながら考案したサービス内容を3つのSTEPで整理する実践ワークに移りました。
<3STEP>
① 類似LPを検索
② ターゲットを明確
③ LP構成内容を検討
3STPEを各自の事業/サービスに落とし込みながらサイトを作り、グループで発表。
豊中市のみなさんや講師によるフィードバックを行い、3日目の講座も無事終了しました。
3月24日はDEMODAYの開催です!
参加学生それぞれが想いを込めてアイデアを考え、検証し、ブラッシュアップを重ねた事業/サービスの発表に挑みます。
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